今回は、長月天音さん著作「キッチン常夜灯」を読み終わりましたので、感想レビューしていきます。
いつもミステリ小説を漁るようにして読んでいる筆者が、めずらしく「お仕事小説」「グルメ小説」と呼ばれるジャンルの作品を選んでいました。
出会えて、読めてよかったです!
筆者は「 キッチン常夜灯 」でお客さんに提供されるお料理のあたたかさと。
南雲みもざさんが「 キッチン常夜灯 」で出会う人たちを通して心が成長していく姿が響きました。
殺伐とした殺人事件ばかり読んでいる筆者が言うのもなんですが、読み応えがありおもしろかったです!
やさしい気持ちになれるお話を探している方に、ぜひ読んでいただきたいです。
よかったら、読書選びの参考にしてください。
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「キッチン常夜灯」
- 発売日: 2023年09月22日
- 著者: 長月 天音(ながつき あまね)
- シリーズ:キッチン常夜灯
- レーベル: 角川文庫
- 出版社: KADOKAWA
- 発行形態: 文庫・電子書籍(各814円)
- ページ数: 304p

作者の長月天音さんは、大学を卒業してから長く飲食店に勤務していたそうです。
なるほど、とてもリアリティのある作品でした。
登場人物
- 南雲みもざ(なぐも みもざ)
- 洋食店「ファミリーグリルハウス・シリウス浅」草雷門通り店の店長
- まだ若くして抜擢された店長業務で、ストレスが多く不眠気味。
- 堤千花(つつみ ちか)
- 「キッチン常夜灯」のソムリエ
- 笑顔が素敵な、心配りのかたまりのような人
- 城崎恵(きのさき けい)
- 「キッチン常夜灯」のオーナーシェフ
- あまり感情を表に出さない性格で無愛想にみえるが、店内の細かいところまで見ている
- 金田さん
- みもざが仮住まいをすることになる倉庫と呼ばれる元従業員寮の管理人
- 現在は設備部で働いている

「キッチン常夜灯」の常連さんたちもいい味だしてます。
みもざさんが他のお客さんと段々と近づいていく過程も、速すぎなくていいなと感じました
みどころ
【あらすじ】
東京ドームや遊園地のあるすぐ横の、立派なマンションが立ち並ぶ住宅地。
その中の古ぼけたマンションの1階、半地下にあるちょっと入るのに勇気のいるお店「 キッチン常夜灯 」。
そんな「 キッチン常夜灯 」へ、洋食店の店長をやっている南雲みもざが訪れます。
みもざは、少ない人員でお店を切り盛りしなければいけないことや、お客さんのクレームなどのストレス過多で不眠に陥っていました。
「 キッチン常夜灯 」の営業時間はなんと、夜の9時〜の真夜中の営業なのでした。


様々な人たちが表には出さない戦いの果てに、「 キッチン常夜灯 」にやってきます。
長い長い旅のすえにたどり着いた宿屋みたいだなって、はじめに感じました。
「 キッチン常夜灯 」で提供される心からの接客
半地下のお店に入っていくドキドキ感。
そこで出迎えてくれる、やさしい堤さんの安心感のある笑顔。
そしてオーナーシェフ城崎さんの、丁寧な仕事から生み出されるお料理がほんとうに美味しそうなのです。
みもざさんがはじめて来店した時に注文した「 牛ホホ肉の赤ワイン煮 」も、ホロホロした牛肉を想像して読んでる筆者の口の中がお肉の旨味でいっぱいになっていました。

(画像はイメージです)

では美味しい料理を提供しているから、「キッチン常夜灯」は魅力的なのかというと少し違っています。
カウンターの一番奥にひとりで座っている女性の前には、いつもスープと水だけしかありません。
その女性にも事情があるのですが、堤さんも城崎シェフも女性のためを思って消化がよくて満腹感の得られるスープを用意して待っています。

小さいお店だからこそできるのかもしれませんが、「お客さんのため」を思って。
心から喜んでもらいたい、くつろいでもらいたいと願っているふたりの気持ちが素敵なのです。
みもざさんの成長
南雲みもざさんはとてもがんばりやさんで、周りの人の気持ちもちゃんと考えられる人です。
だからこそ、他の人に頼ることができずに全部自分ひとりで背負ってしまう。
そんな苦しくて、重い店長という「鎧」に潰されそうになりそうな南雲みもざさんは「 キッチン常夜灯 」で素敵な理想のお店の姿を見ます。

「キッチン常夜灯」で過ごすうちに、南雲みもざさんの自分のお店に対する心構えがはっきりしてきて気持ちが強くなっていくのが頼もしいです。

そしてなにより。
みもざさんは人間関係での視点が広がったそのあとに。
ちゃんと険悪になった相手に対して向き合う行動ができるのが、ほんとうにすばらしいです!
まとめ
いかがだったでしょうか。
読み終わってから、とてもあたたかい気持ちになれた作品でした。
背中をバンっと叩かれるような強さではなく、顔を上げて前を向いていく力をじんわりともらったようです。
「 キッチン常夜灯 」は、シリーズ化になるほど人気となっています。
次作の「キッチン常夜灯〜真夜中のクロックムッシュ」も楽しみです!
そして長月天音さんの他の作品を読んでみたいなと調べてみました。
2026年2月に浜辺美波さんと目黒蓮さんがW主演する映画「ほどなく、お別れです」の原作者さんでした。
「ほどなく、お別れです」は長月さんのデビュー作だそうです。
人気作品ですが筆者はまだ未読ですので、ぜひこちらも読んでみたいです。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
まめでした。
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