今回は、ミステリの女王アガサ・クリスティー著作「七つの時計」( 原題:THE SEVEN DIALS MYSTERY )を読み終わりましたので、感想をレビューをしたいと思います。
この「七つの時計」は1929年発行ということで、かなり昔の作品なのです。
きっかけは、同じくアガサ・クリスティー著作の「 チムニーズ館の秘密 」が新訳で刊行されたので、そちらを読んだところ大変おもしろく。
その続編というわけではないのですが。「チムニーズ館の秘密」の登場人物たちが出てくる作品がある!と知り、電子書籍で発掘してきた次第です。
結論として、「チムニーズ館の秘密」に登場した主要な人物のアントニー・ケイドとヴァージニア・レヴェルはでてきません。
代わりにケイタラム卿の娘のアイリーン・ブレント( 通称バンドル )が活躍します!
「 チムニーズ館の秘密 」を読んでいなくても、「 七つの時計 」だけでも読める単独の作品です。
どちらかというと、ロマンチック冒険活劇ミステリーというような分類になる気がします。
どんでん返しが多く、壮大に騙されたい!という方にピッタリな作品でした。
犯人などの重要なネタバレはなしで、感想レビューしていきます。。
よかったら、見ていってください。
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・アガサ・クリスティー著作「 チムニーズ館の秘密 」の感想レビューはコチラからどうぞ
「 七つの時計 」

(U−NEXT書影引用)
- 発売日: 2004年02月
- 著者:アガサ・クリスティー / 翻訳: 深町眞理子
- レーベル: ハヤカワ文庫
- 出版社: 早川書房
- 発行形態: 文庫
- ページ数: 490p
※この作品「 七つの時計 」は、同じくアガサ・クリスティー著作の「 チムニーズ館の秘密 」から四年が経った設定です。
あらすじ
チムニーズ館に逗留していた若い外交官たちのひとりが睡眠薬の過剰摂取で亡くなった。
自殺か事故かと思われたが、マントルピースには七つの時計が並べられていた。
だれが何のメッセージで?
バンドルが偶然みつけた手紙に書いてあった謎の言葉「セブン・ダイアルズ」
そしてビル・エヴァズレーに会いに愛車をぶっ飛ばしていたバンドルの前に、ふらふらとよろめき出てきた男性が発したのも「 セブンダイアルズ…伝えて… 」だった。

登場人物
- アイリーン・ブレント( 通称バンドル )
- ケイタラム卿の娘
- 斬新な車の運転をすることから、事件に巻き込まれてしまう
- 思いついたら即行動
- ケイタラム卿
- バンドルの父親。侯爵で、チムニーズ館の所有者
- 心静かに暮らしたい貴族
- ビル・エヴァズレー
- 美人にとっても弱い
- 外交官
- ジョージ・ロマックス(あだ名はコダーズ)
- 外務次官
- いつもケイタラム卿に無理難題を言ってくる
- バトル警視
- ロンドン警視庁の警視
- とても優秀で、ほぼ表情が変わらない
他にも「 チムニーズ館の秘密 」の登場人物たちがたくさん出てきます。
以前と関係性も変わったりするので、チムニーズを読んだ方にも楽しいと思います。

( 「 七つの時計 」からの登場人物たち )
- ジミー・セシジャー
- 外交官という名の外務省に籍を置いているだけのお坊ちゃん
- 有能な執事がいる
- ジェリー・ウェイド
- 外交官でおっとりした青年
- 逗留していたチムニーズ館で悲劇に合う
- ロレーン・ウェイド
- ジェリーの腹違いの妹
- お淑やかで、可愛らしい印象
- サー・オズワルド・クート
- ケイタラム卿から「 チムニーズ館 」を借りた大金持ちの鉄鋼王
- マライア・クート( レイディ・クート )
- オズワルドの妻。悲劇を得意としたイギリスの大女優に似ている
いちばんのおもしろポイント
「 秘密結社に対抗しようとする一般人(貴族の令嬢) 」
他のアガサ・クリスティー作品には、突出した才能をもった探偵たち( エルキュール・ポアロやミス・マープルなど )が事件を論理的に解決するものが多いです。
しかしこの「七つの時計」は、猪突猛進の貴族の令嬢バンドルが嵐のように周りを巻き込んでいき。
起きたことに対して、行き当たりばったりに体当たりしていく作品でした!

この、「 バンドルの後先を考えない行動 」で、貴族の令嬢なのに謎の組織のアジトらしき場所になんと潜入して様子を伺うことになったり。
バンドルはそうと知らないうちに殺人犯の手の内に入り込んでしまっていたりと、すっごくハラハラして心配して、一緒に冒険しているような感覚になれるのです。
そして、アガサ・クリスティーお得意の「 じつは意外な裏の関係性が隠れていました 」という大どんでん返しが見られますので期待してください。
読み返してみると、さりげなく引っかかる一文などが挟まれているのがまたニクイのです。
セブン・ダイアルズ
ジェリー・ウェイドの手紙から「 セブン・ダイアルズ 」という秘密結社の存在が明るみに出ます
バンドルの車の前に、突然よろめき出てきた男の発した言葉も「 セブン・ダイアルズ 」でした。

そんなとき、ジョージ・ロマックス(コダーズ)邸で行われる政治パーティーに「 セブン・ダイアルズ 」から脅迫状が送られていたことが判明します。
「 セブン・ダイアルズ 」はまちがいなく存在していて、人を殺してまでも何かを狙っているらしい。
秘密結社「 セブン・ダイアルズ 」に迫ろうとするバンドルたちですが、警視庁のバトル警視は強い言葉で牽制をかけます。
それでも暴走した列車のように、走り出したら止まらない貴族の令嬢バンドル。
セブンダイアルズの本拠地ではないか?との噂の、ハンスタントン街十四番地にある「 セブン・ダイアルズ・クラブ 」への潜入を試みるのです。
残念ポイント
この作品「 七つの時計 」は、
優秀なバトル警視がいる警察側に対して、バンドル側の一般人に「 知将(探偵役) 」が明確に存在しないという珍しい設定です。
ひとり頭脳明晰な設定の「 ルーパート・ベイトマン(あだ名はボンゴ) 」がいますが、探偵役としては事件に関わってこないのです!これにはびっくりしました。
いかに頭のいいバンドルでも、犯罪に関しては素人ですので。
バンドルと巻き込まれた友人たちは事件に対して効果的な対策がなかなか浮かばず、ウロウロしてる感じがしてしまいました。
まあ、現実的でいいといえばそうともとれます。

そして導入部分も、事件がおきるまでがけっこう長いです。
かなりのページ数をさいて、レイディ・クートの人生観や。
イギリスにおける庭師頭がなんともプライドが高く、館の主人のいうこともまったく聞かないということを教えてくれます。
正直いうと、中盤以降に事件が転がりだすまではしばしの辛抱だったのが残念なポイントでした。
ただ、その分。解決の光が見えだすと、急転直下の展開でどんどん進んでいくので、おいてかれないようにしてください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
「チムニーズ館の秘密」のように、騙しだまされの頭脳戦な作品なのかな?と思ってたのですが。
まったく予想に反しての「ロマンチック冒険活劇ミステリー」でした。
この作品「七つの時計」は実写ドラマにしたら、見やすいし楽しいんじゃないかなーと感じました。
ケイタラム卿の娘で、貴族の令嬢であるバンドルのことが好きになることまちがいなしの小説です。
よかったら、手にとって冒険活劇の世界へ入ってみてください。
参考になりましたら、うれしいです。
まめでした。
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