今回は、ユッシ・エーズラ・オールスン著作の人気北欧ミステリ「 特捜部Qーキジ殺しー 」がやはりとても面白かったので感想レビューしていきます。
「 特捜部Qシリーズ 」2作目にあたる「 特捜部Qーキジ殺しー 」は、20年前に惨殺された若い兄妹の事件を再捜査することからはじまります。

なんと今作は、容疑者が分かっている状態から事件がスタートします。
筆者は正直いって、犯人が分かっている話は好きではありません。
ですが!
やはり「特捜部Qシリーズ」です!そんなこと、なんの障害にもなりませんでした。
むしろ、なぜ容疑者たちは仲間のハズなのにお互いを恐れ憎んでいるのか?
そして、本当に連続殺人事件の犯人はお前たちなのか?
という、疑問をずっと抱きながら読んでいくことになるのです。
北欧ミステリならではの、社会的強者に搾取され続ける弱者や。
人間の奥底の闇を描いていく作品となっています。
真犯人や重要なネタバレなどはナシで、おもしろいと思ったポイントを紹介していきます。
読書選びの参考にしてみてください。
・特捜部Qシリーズ1作目の「特捜部Qー檻の中の女ー」の感想レビューはコチラからどうぞ
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「 特捜部Qーキジ殺しー 」

(楽天ブックス商品画像の引用)
あらすじ
いったいこの書類はどこから送られてきたんだ?
いつのまにか特捜部Qのデスクに置かれていた20年も前の事件の書類。
18歳と17歳の兄妹が惨殺された事件だが、その後犯人は自首して服役中。
つまり未解決ではない。
なのになぜ未解決事件を調査する特捜部Qに?
興味を抱いたカールとアサド、それに新メンバーのローセは再調査に取り組むが、当時の容疑者たちはいまや有力者に…
(Amazon商品紹介より引用)


ラアヴィーにある別荘で身元の確認もできないほど暴行された兄と妹の事件。
そんな古い事件の資料を「特捜部Q」に送ってきた人物は誰なのか?
導入部分もドキドキではじまります。
登場人物
- キアステン・マリーイ・ラスン( 通称キミー )
- 大富豪ラスンの娘だが、現在はホームレスの女性
- ディトリウ・プラム
- 病院の経営者でハンサム・中身は凶暴なものを秘めている
- トーステン・グローリン
- 人気ファッション・デザイナー・見かけだけのポンコツ
- ウルレク・デュプル・イェンスン
- 株取引会社の元経営者・頑固な性格で長身
- クレスチャン・ヴォルフ
- 船舶会社の元経営者・死亡している
- ビャーネ・トゥーヤスン
- 「 ラアヴィー殺人事件 」の犯人として逮捕され服役している

特捜部Q主任のカール、アシスタントのアサドに加えて
今作からローセ・クヌスンが仲間入りしました。
これまたクセ強なキャラクターのローセに振り回されるカールを見るのが面白かったです。
みどころ
「 特捜部Qーキジ殺しー 」は、なんとびっくり事件の犯人たちがある程度分かっている状態からスタートします。
ディトリウ、トーステン、ウルリク、ビャーネ、キミー。
死亡しているクレスチャンを含めた6人は、寄宿学校の少年グループで仲間でした。
20年前、容疑者だった若者たちはいまや誰もが知る有力者になっています。

当時、捜査に関わった関係者も「こいつらがやったんだ」と確信がありながらも逮捕はできませんでした。
20年後の現在。カールたちが再捜査しようとしますが、どこからか邪魔が入ったりと一筋縄ではいかない状況です。
そして官民問わず、相変わらず関係者たちは非協力的です。
これぞ北欧ミステリーです!
それでも捜査を進めていくと、どうも「 ラアヴィー殺人事件 」だけではなく多数の暴行事件が絡んできていることが判明してくるのです。

本当に悪ガキたちが凶悪な事件を起こして、親の金の力と権力で逃げ延びてきただけなのか?
見えそうで見えない事件の全貌。
すべてが終わった跡には、隠された人間の闇が底に沈んでいました。
いちおしポイント
「 ラアヴィー殺人事件 」を捜査し、犯人にたどり着こうとしているカールたちとは別軸で。
容疑者たちの行動が不穏さを増していくのも「 特捜部Q 」らしさではないでしょうか。

イチオシはずばり
キミーの復讐劇です!
「 ホームレスの女性 」とキャラクター紹介されていますが、キミー(キアステン)は事件の鍵をにぎる超重要人物になっていきます。

小説の冒頭からディトリウ、そしてトーステンとウルレクへの憎悪で体を震わせるキミー。
ディトリウ達とは寄宿学校の少年グループで仲間ではなかったのか?
しかもディトリウ達の方では、必死になってキミーを探していました。
富裕階級層にいたはずのキミーが、なぜホームレスになって逃げ回っているのか?
見つかりそうになりながらも、自分からディトリウたちに近づいていくキミーの目的とはなんなのか?
疾走感のある展開に引き込まれます。

キミーの置かれた家庭環境や持って生まれたもの、
もがいて生きてきた状況などを知るにつれて、みなさんも感情移入していくのではないでしょうか。
筆者は途中から、この作品の主役はキミーだと思って読んでいたくらいです。
最後まで気が抜けない展開

ラスト近くはもう「ランボー怒りの〇〇」とか、
シュワちゃんが乗り移ったんじゃないか?ぐらいの展開になります。
これは危険な状況に自ら飛び込んで行くカールとアサドなので、まあ予期されたことだったりはします。
読んでいるこっちはカールとアサドが死んじゃうんじゃないか?って、ドキドキハラハラ心配しどうしでした。

骨折、爆破、爆発、が多発します。
※サバイバル状況が好きな方にはたまらないと思いますが、
痛い表現が苦手な方にはここは注意が必要です。
「特捜部Qシリーズ」
「 特捜部Qシリーズ 」は、9巻まで日本語訳で刊行されています。(2025年08月現在)
1. 特捜部Q -檻の中の女-
2. 特捜部Q -キジ殺し-
3. 特捜部Q -Pからのメッセージ-
4. 特捜部Q -カルテ番号64-
5. 特捜部Q -知りすぎたマルコ-
6. 特捜部Q -吊された少女-
7. 特捜部Q -自撮りする女たち-
8. 特捜部Q -アサドの祈り-
9. 特捜部Q -カールの罪状-

「特捜部Qシリーズ」1作目「 特捜部Qー檻の中の女ー 」
の感想レビューはコチラからどうぞ
まとめ
いかがだったでしょうか。
今作「特捜部Qーキジ殺しー」は、疾走感のある展開で一気に読んでいけました。
ですが、やはり北欧ミステリならではの残忍な事件がベースとなっていますので、読んでいて気が滅入る展開にはなります。
そこでカールとアサドのコンビの、ポップな掛け合いが効いてくるんですね。
もちろん、カールにはアマー島での襲撃事件の謎も残されています。
アサドの詳しい経歴なども不明なままです。
次作も大変たのしみです!
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
まめでした。
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