今回は、アンソニー・ホロヴィッツ著作の犯人当ての名作「 カササギ殺人事件 」シリーズの三作目、「 マーブル館殺人事件(上・下) 」がさすがのおもしろさだったので感想レビューしていきます。
「 カササギ殺人事件 」「 ヨルガオ殺人事件 」に続く第三弾となる「マーブル館殺人事件」
各作品が終わる度に、人生の転換を余儀なくされてきたヒロインのスーザン・ライランド。
第三弾の「マーブル館殺人事件」では、またまったく違う環境からはじまります。
そして、またお金がない状態です。

おかげで二度と関わり合いにならないと誓ったはずのアラン・コンウェイの作品「 アティカス・ピュントシリーズの続編 」という仕事を、編集者として担当することになってしまいます。
そしてはじまる、作中作品に隠された謎の解明です。
前作二作も、犯人当ての名作となっていましたが。
第三弾の「マーブル館殺人事件」も、犯人当てをしたい!という人にピッタリな作品となっています。
前作二作できれいに完結したと思ったのに、第三弾が出たけどおもしろいの?
シリーズ物ということだけど、「 マーブル館殺人事件 」から読み始めても大丈夫?
筆者も疑問に思っていたことを、犯人などの重要なネタバレはナシでみどころ等を紹介していきます。
読書選びの参考にしてみてください。。
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「 マーブル館殺人事件 」


(楽天ブックス商品画像から引用)
あらすじ
若手作家エリオット・クレイスが書き継ぐことになった〈アティカス・ピュント〉シリーズの新作『ピュント最後の事件』。
編集者のわたし、スーザン・ライランドは、作品世界とエリオットの生い立ちの間に多くの類似点があるのを知る。
エリオットは途中まで書かれたこの新作で何をたくらんでいるのか?
世界的な児童文学作家だった、彼の祖母の死に何かがあったのか?
『カササギ殺人事件』『ヨルガオ殺人事件』に続く、傑作犯人当てミステリ!
(楽天ブックス作品紹介より引用)

なんとびっくり〈アティカス・ピュント〉シリーズの続編が
書き手を変えて出版されることになります。
登場人物たち
- スーザン・ライランド
- フリーランスの編集者。間違ったことはしていないハズなのに不遇に見舞われる
- アラン・コンウェイ
- 「 アティカス・ピュント 」シリーズの作者。すべての元凶
- エリオット・クレイス
- 恵まれた境遇ながら、鬱屈した人生を送る若手作家
- ミリアム・クレイス
- 児童文学ではその名を知られた大作家。エリオットの祖母


作家エリオットのクレイス家の一族と、
作中作品「 ピュント最後の事件 」で出てくるチャルフォント家の一族。
現実の人物になぞらえた小説の中のキャラクターが出てくるので
登場人物たちはたくさん出てきます。
ですが、どの人物も個性豊かなのでわかりやすくて覚えやすいのがさすがです!
エリオットの伯父さんが、まーあ嫌な奴でして。
現実にもこういう奴いるよなーっって思いながら読んでいました。
みどころ

作品の中で別の小説が読める「 作中作品 」もみどころですが。
何と言っても主人公スーザン・ライランドの
不遇な人生ではないでしょうか

第一作目「カササギ殺人事件」では46歳だったスーザンは、今作「マーブル館殺人事件」では55歳になっています。
シリーズ第三弾でも変わらないおもしろさ
前作二作でスーザンの人生はしあわせに向かって進み出し、きれいに完結しました。
しかし、そんなのはスーザンらしくありません!
シリーズ第三弾「 マーブル館殺人事件 」でスーザンはまた、一から出発することになります。
まあ、強い人で尊敬します。
本を作ることに心血を注いで、仕事に邁進してきたキャリアのある自立した女性スーザン。
それなのに、自己中心的な作家や出版業界の保身や身内びいきために事件に巻き込まれたり、理不尽な扱いを受けがちです。
間違った決断はしていないハズなのに、いつもお金がなかったりとなぜか不遇な道を歩んでしまうのです。

たしかに、スーザンは余計なひとことを言ってしまったりします。
正直すぎるがゆえなのでしょうが、こんなに他人の神経を逆なでしてしまう人もめずらしいです。
だからこそ、転がるようにピンチに陥ってしまうのですが…。

追い詰められてからのスーザンの逆転劇がすっごく気持ちがいいのです!
安心してください。第三弾もおもしろいです。
犯人探しの大渋滞
スーザンが担当していたミステリ作家アラン・コンウェイの代表作「 アティカス・ピュント 」シリーズ。
その「 アティカス・ピュント 」シリーズの続編を、アランの代わりに違う作家に執筆させて出版しようという話になります。
「 アティカス・ピュント 」シリーズは、作者のアラン・コンウェイが現実の事件を織り込ませて書かいたといういわくつきの作品だったりします。
今回は、アランの代わりに執筆したエリオット・クレイスの家系がしっかりと関係していました。

世界的な児童文学作家だったエリオットの祖母ミリアム・クレイス。
児童文学で多くの子どもたちに夢を与えてたその人が、実は底意地の悪い、家族を囚人のように抑圧していた!なんてことが明かされます。
誰もが知っている有名な作品のイメージと莫大な資産によって、人生が歪められてしまったクレイス家の人たち。

「 ピュント最後の事件 」と名付けられた作品では
伯爵夫人のレディ・チャルフォントの事件の犯人を探します。
そしてスーザンたちのいる現実の世界で起きてしまった事件にも
「 ピュント最後の事件 」は関係してくるのです。
あの事件の犯人と、この犯行の犯人もと、いろんな事件の犯人探しをしないといけないので、こんがらがりそうになりました。
けれど、それがまた面白くて楽しかったのです!
そして、なんといっても古典ミステリで定番の
「 館 」「 遺産相続 」「 避暑地での殺人事件 」にときめかないわけがありません。
「 マーブル館殺人事件 」から読み始めてもいい?
「 カササギ殺人事件 」「 ヨルガオ殺人事件 」「 マーブル館殺人事件 」は、どれも独立した物語です。
「 マーブル館殺人事件 」から読み始めても、スーザンの境遇なども巻頭で説明してくれていますので意味が通じないということはありません。
ですが、今作「マーブル館殺人事件」は作者自ら小説の巻頭に注意書きがあります。
第一作目「 カササギ殺人事件 」の結末が、ガッツリ出てきますので
未読の方はご注意ください。


「 マーブル館殺人事件 」では、シリーズ第一作目「 カササギ殺人事件 」の犯人が出てきます!
「カササギ殺人事件」を読んでいないけど、
犯人が分かってもいいよーという方なら問題ないと思います。
シリーズ作品
スーザン・ライランドが探偵役を務めるシリーズは三作品あります。(2025年9月現在)
- 「 カササギ殺人事件 」(上・下)2018年9月28日発売
- 「 ヨルガオ殺人事件 」(上・下)2021年9月13日発売
- 「 マーブル館殺人事件 」(上・下)2025年9月11日発売)

いずれも東京創元文庫から出版されており
読みやすい翻訳は山田蘭氏が努めています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
アンソニー・ホロヴィッツの大人気ミステリ小説「カササギ殺人事件」シリーズの第三弾「マーブル館殺人事件」
上・下巻で長さはありますが、読みやすいのでスーザンの世界と作中作品に没頭できること請け合いです。
筆者も正直、第三弾かぁー。上下巻で長いし、一冊高いしな〜っと思っていました。
ですが、やはり古典ミステリの良さがつまった作中作品「 アティカス・ピュント 」の世界にもう一度浸りたい!
そしてなにより殺伐した現代の世界で前を向いて生きるスーザンの強さも、忘れられない魅力となっていました。
結果、予約して発売日に手にしていました!
一冊で二度美味しい「 マーブル館殺人事件 」でございました。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
まめでした。
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