今回は、ジョン・ディクスン・カーの名作古典ミステリ「 皇帝のかぎ煙草入れ 」(原題:The Emperor’s Snuff-Box)の新訳版を読んで、おもしろかったので感想レビューしていきます。
「 皇帝のかぎ煙草入れ 」は、フェル博士シリーズやヘンリ・メルヴェール卿シリーズでもないノンシリーズものです。
読んでみまして、なるほどこれは様々なミステリ作品の中で名前が挙がってくるわけだ!と、納得の名作でした。
「 皇帝のかぎ煙草入れ 」の作品発表は1942年で、実に80年以上前(!)のミステリ小説となります。

そんな昔の作品ですが、自信家な男性が現実はもうどうしようもない状況なのに、まだやれる!大丈夫だと自分を騙して思い込もうとするプライドや。
ひとりでいることの寂しさのあまり、ちょっとした違和感を無視して婚約に踏み切ってしまう女性だったりと。
現代社会にも見当たりそうなキャラクターの登場人物たちばかりです。
新訳版ということで、ありがたいことに文章になんの違和感なく楽しんで読めました。
古典ミステリに興味のある方、作品名は聞いたことあるけど読んだことないなっていう方にも。
ぜひ読んでもらいたい作品です。
犯人などの重要なネタバレはナシで、見どころなどを紹介していきます。
読書選びの参考にしてみて下さい。
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「 皇帝のかぎ煙草入れ 」

(楽天ブックス商品画像の引用)
- 発行日: 2012年05月25日 初版
- 著者/訳者: ジョン・ディクスン・カー/駒月雅子
- レーベル: 創元推理文庫
- 出版社: 東京創元社
- 発行形態: 文庫
- ページ数: 318p
あらすじ
フランスの避暑地に暮らす若い女性イヴは、婚約者トビイの父サー・モーリス殺害の容疑をかけられる。
犯行時には現場に面した自宅の寝室にいた彼女だが、そこに前夫が忍びこんでいたせいで無実を主張できない。
完璧な状況証拠も加わって、イヴは絶体絶命の窮地に追いこまれるー
「このトリックには、さすがのわたしも脱帽する」と女王クリスティを驚嘆させた不朽の傑作長編。
(商品内容紹介より引用)


ノンシリーズだし、ちょっと難しい内容なのかな?
と今まで敬遠していました。
ですが、この「 女王アガサ・クリスティを驚嘆 」の文句で読むことを決めました!
登場人物たち
- イヴ・ニール
- 剛腕実業家だった父からの遺産がある魅力的な女性。疑うことを知らない性分
- ネッド・アドウッド
- イヴの前夫。陽気で恵まれた容姿の男性だが浮気性
- トビイ(ホレイショー)・ローズ
- イヴの婚約者。銀行に勤めていてイヴをとても崇拝している
- サー・モーリス・ローズ
- トビイの父。骨董品集の趣味がある
- ダーモット・キンロス博士
- 精神科医。包容力のある独特な風格をもつ


本文での人物描写がやけに細かくて、長いなーと読み始めは思いました。
けれども、じつはもうそこからトリックは始まっていたのです!
読み飛ばさないように注意してください。
みどころ
放蕩な前夫のネッドと離婚して、新たな出会った銀行家の男性トビイと早くも婚約したモテモテのイヴ。
しかし幸せもつかの間、前の夫のネッドが「 結婚は認めない! 」とイヴの寝室に上がり込んで来たのだ。
婚約者のトビイの家は同じアンジュ街にあり、イヴの住むミラマール荘の真向かいだった。
向かいの2階では、トビイの父サー・モーリスがまだ起きているのか灯りがついている。

婚約者の父親に「 寝室に男を連れ込んでいるぞ 」とバラしてしまうぞ〜なんて、子供じみた脅しをしようとしたのか
ネッドがイヴの家の窓のカーテンを開けると、そこには信じられない光景がありました。
婚約者トビイの父・サー・モーリスが殺されていたのです!

あらすじを見たときは、殺人犯人に疑われるくらいなら
前夫が寝室にいたことくらい言っちゃえばいいのに〜と正直、思いました。
作品発表は1942年ですので、時代背景的に女性は貞淑であらねばという社会通念があったのでしょうね。
無実を証明できないジレンマ
サー・モーリスが殺害されたのを眼の前で見たはずなのに、自分の無実を声を大にして言えないイヴ。
殺人事件から一週間が経ち、警察はイヴをサー・モーリス殺害の容疑で逮捕することにします。

雇ってるメイドのイヴェットに、なぜか異様に嫌われている状態のイヴ。
そして、皮肉にも頼みの綱の生き証人である前夫・ネッドは、なんと証言をできない状態になっていたのです。
ほかにイヴに有利な証言をしてくれる人はいません。
とことんまで追い詰められるイヴなのです。

状況証拠はもちろんありまくりですし、まったく覚えのない物的証拠まで出てきてしまい
ガッチリ犯人として固められてしまいます。
みんなが隠している
「 放蕩な男と離婚した、容姿の魅力的な女性 」というスキャンダラスなイヴを、すぐに息子トビイの交際相手として受け入れたローズ家。
すいぶん懐の深い抱擁力のある一族に見えますが、そこにもやはり隠された理由があったのです。
そして、イヴがメイドのイヴェットに異様に嫌われていたことにもちゃんと理由がありました。

関係者たち一人ひとりの隠し事が小さいことで、一見すると殺人事件とは関係のないことだとしても。
それはサー・モーリス殺人事件に関係していって、人々の思惑は思いもよらぬ方向へ四方八方に飛んでいき。
クモの巣のように、事件の一旦を担う糸になっていたのです。

なんと被害者であるサー・モーリスにも秘密はありました。
そして、探偵役のキンロス博士にも心に秘めていることがあったのです!
ラストは怒涛の暴露展開になりますので、楽しみにしていてください!
まとめ
いかがだったでしょうか。
古典ミステリーの不朽の傑作長編と言われる、ジョン・ディクソン・カー著作「 皇帝のかぎ煙草入れ 」。
この作品は、とてもとても「 言葉の力 」が重要な作品でした。

ミスリードやトリックに関わる重要な場面が、きちんと正確に読み手に伝わることの有り難さったらないです!
新訳版で読むことができて、本当に良かったです!
時代は変わっても残り続けてきた、傑作と呼ばれる物語の凄さを感じました。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
まめでした。


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