今回は、ジョン・ディクスン・カーの「 連続自殺事件 」新訳版が大変におもしろかったので感想レビューしていきます。
この作品は1961年に創元推理文庫から刊行された長編ミステリ「 連続殺人事件 」を改題・新訳したものです。
訳者は三角和代氏。
1941年に発表された作品の原題は「 The Case of the Constant Suicides 」となっています。
原題からしたら「 連続自殺事件 」のほうがピッタリな気がしますが、日本では長らく「 連続殺人事件 」で出版されてきた作品です。
とても不穏なタイトルでなかなか手が出ませんでしたが。読んでみたところ、あらビックリ!
ラブコメでした!!( 本当です!嘘じゃないんです。信じてください!)
トリックや構成なども、さすがカー!という作品でした。
犯人などの重要なネタバレはナシで、みどころなどを紹介していきます。
読書選びの参考になったら嬉しいです。
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「 連続自殺事件 」

(楽天ブックス商品画像より引用)
- 発行: 2022年02月18日
- 著者/編集: ジョン・ディクスン・カー(著))/三角 和代(訳)
- レーベル: 創元推理文庫
- 出版社: 東京創元社
- 発行形態: 文庫
- ページ数: 304p
- 定価:(本体900円+税)
あらすじ
空襲が迫る1940年の英国。若き歴史学者のキャンベルは、遠縁の老人が亡くなったスコットランドの古城へ旅立った。
その老人は、塔の最上階の窓から転落死していた。
部屋は内側から鍵とかんぬきで閉ざされ、窓から侵入することも不可能。
だが、老人には自殺しない理由もあった。
それでは彼になにが起きたのか?
名探偵フェル博士が、不気味な事件に挑む!
『 連続殺人事件 』改題・新訳版。
(内容紹介より引用)


舞台はスコットランド。
主人公アラン・キャンベルはロンドン北部の駅ユーストン駅から
グラスゴー駅ゆきの列車に乗りスコットランドのシャイラ城へと向かいます。
登場人物

( シャイラ城のモデルといわれているスコットランド・インヴァレリー城(Inveraray Castle) )
- アラン・キャンベル
- オックスフォード大学修士であり、ハーヴァード大学博士でもある歴史学者。
- キャスリン・アイリーン・キャンベル
- ハーペンデン女子カレッジの教授。
- アンガス・キャンベル
- シャイラ城の前城主。かなり変わった人物だったらしい。故人
- エスパット・キャンベル
- アンガスの内縁の妻。見栄っ張りでかなりしきたりに厳しい性格
- コリン・キャンベル
- アンガスのすぐ下の弟。酒豪で豪快な性格。自信家な医者
- チャールズ・E・スワン
- カナダ人だがスコットランドの血が流れているらしい。実は新聞記者
- ウォルター・チャップマン
- 保険会社の社員。アンガスの事件を事故か自殺か調べに来ている
- アリステア・ダンカン
- キャンベル家の弁護士。すぐに辞めると言い出す
- アレック・フォーブス
- アンガスの知人。共同で事業を立ち上げようとしていた。

登場人物がほぼキャンベル一族なので、名字はみんな一緒です。
名前だけ覚えたらいいので楽でした!
海外作品で苦労する「 カタカナの登場人物を覚える 」のステップが低いです。
みどころ
アンガス・キャンベルの死因は自殺か事故か、それとも他殺なのか?
故人アンガスの掛けた保険金3万5,000ポンド( 2026年現在の価値に換算すると日本円で3〜4億円相当 )の行方を決めるためには、
事故か自殺なのか?それとも殺されたのか?を、判明させなくてはいけません。
アンガスが死ぬ前に訪ねてきた、アレックス・フォーブスという男の行方が分からなくなっていました。
アレックスはアンガスとなにやら共同事業を興していたようなのです。
警察はその男を追っていました。

シャイラ城という土地建物は持っていますが、キャンベル家の内情は困窮していました。
故・アンガスの内縁の妻エスパットは無一文で、アンガスが自殺だった場合は城も生活のすべてを失います。
アンガスの弟・コリンも医師なのですが、お金に困っています。
殺人だとしたら、動機という面では親族も除外はできないのです。

レスバからはじまる波乱の幕開け
その「 連続自殺事件 」という禍々しいタイトルと、被害者が古城の塔からの落下するという舞台装置を聞いて。
次々と自殺者が出る呪いだー!とかいう、おどろおどろしい作品なのかな?と想像していました。
ところがどっこいです。
物語の冒頭から「 レスバ( レスポンスバトル ) 」が始まります!

「 チャールズ二世の晩年 」という本の書評を巡って、主人公のアラン・キャンベルは著者であるK・I・キャンベルと論争に発展してしまうのです。
お互いに知識のある同士が、ムキになって「 この説は〇〇という書物に書かれていますが、ご存知ないようですね 」なんて新聞上でやり合うのです。

この作品「連続自殺事件」の発表は1941年なのですが、
昔も現在( 2026年 )も同じようなことをしているんだなって面白かったです。
ワチャワチャに注意
いわくつきの塔がある建物に寝泊まりしなくてはいけないという恐怖もあり、コリンの作った密造酒(その名も<キャンベル家の破滅>)を勧められて前後不覚に陥るアランとキャスリン。
みんなでその密造酒を飲んで、べろっべろに酔っ払い本物の剣でフェンシングをしたりと大騒ぎします。

読んでいて、スコットランドの人ってこんなに大暴れしてお酒を呑むのかな?と驚きました。
各キャラクターの性格なんかがよく分かって面白かったです。
こんなふうに、一見して事件とは関係ないような描写が続きます。
もちろん関係はしてきますので、おじさん達がはしゃいでるなーって読み飛ばさないようにしてください。

ジョン・ディクスン・カーを読んでいる方には覚えがあると思うのですが。
登場人物がみんな酔っ払ってるという状態は、フェル博士シリーズ4作目の「 盲目の理髪師 」でも出てきます。
答えに導いてくれるフェル博士

コリン・キャンベルはフェル博士と知り合いでした。そこで、この難解な事件を相談しようと博士を呼び寄せます。
ですがフェル博士は登場した途端に、タクシーの運転手と新聞記者が昨夜「 ハイランドの衣装姿の幽霊を塔の上で見た 」と話していたと言い出します。
難解な事件を解決してくれるかと思えば、怪奇めいた方向へ。
アラン達といままでの経緯を整理して、事実を並べていきますが。事実は殺人より自殺の方へ傾いています。
行き詰まりを感じて絶望するアランにフェル博士は言います。
「 ここに来て以来、誰も彼もわたしに幽霊の話をする。うんざりだ。
この寝言は論破しなければならんし、絶対にそうしてやるからな 」
頼もしい限りです。
「 事故 」「 自殺 」「 他殺 」「 塔の上の幽霊 」これらの謎に、明確な答えとしての説明をつけてくれるフェル博士には毎度のことながら惚れます。

しかしながら、フェル博士は全てに説明がつくまでは一切を明かしてくれません。
それによって、起きる第二の事件!
そして続いて第三の事件までもが、起きてしまうのですよ!!!
まとめ
いかがだったでしょうか。
ジョン・ディクスン・カー著作「 連続自殺事件 」。
なんとも不吉で不穏なタイトルなのですが、予想に反してラブコメ満載で読んでいて楽しかったです。
スコットランドの風土や、昔ながらの迷信に凝り固まった地元の人々。
幽霊の出る塔などの因習村の要素も楽しめて、なおかつコメディ。
もちろん一番本丸のトリックは絶品でした!
ぜひ、フェル博士の沼に浸ってほしい!
少しでも参考になればうれしいです。
まめでした。


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