今回は、アガサ・クリスティ著作の「 二人で探偵を 」新訳文庫本がおもしろかったので感想レビューしていきます。
「 二人で探偵を 」は、トミーとタペンスの夫婦探偵シリーズの短編集です。
この作品の前には、「 秘密組織【新訳版】 」(創元推理文庫)があります。
まだトミーとタペンスは夫婦ではなく幼馴染で、第一次世界大戦が終わったあとに再会し英国の危機に関わる秘密文書争奪戦に巻き込まれる…。
と、いった内容のスパイ小説なのです。
そして今作の「二人で探偵を」も短編ではありますが、謎解きあり危機ありのワクワクするスパイ小説となっています。
シリーズ物ですが「 二人で探偵を 」から読んでも、なんの差し支えもありませんので安心してください。
肩の力をぬいたスパイ風冒険小説を読みたい方にピッタリです。
よかったら読書選びの参考にしてみてください。
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「 二人で探偵を 」

(楽天ブックス商品画像から引用)
- 発売日: 2024年02月13日
- 著者/訳者: アガサ・クリスティ/ 野口百合子
- レーベル: 創元推理文庫
- 出版社: 東京創元社
- 発行形態: 文庫
- ページ数: 336p
あらすじ
【名作ミステリ新訳プロジェクト】
結婚して幸せに暮らしていたトミーとタペンスは、上司からある提案を受ける。
英国に対するスパイ活動が疑われる〈国際探偵社〉の経営者になりすまし、
秘密情報部のために探偵業をしてみないかというのだ。
そんなわけで探偵社を引きついだ二人は、持ちこまれる数々の事件を
古今東西の名探偵の捜査法を真似て解決する。
ミステリの女王がおくるコンビ探偵ものの白眉、新訳決定版。
解説=古山裕樹
(楽天ブックス内容紹介より引用)


名作を新訳で出版してくれるなんて、とてもありがたいです!
古典作品にありがちな、ひっかかる言い回しや今は使われていない語句などがなく
とても読みやすかったです
登場人物
- トミー(トマス・ベレスフォード)
- 秘密情報部の仕事で<国際探偵社>の社長セオドア・ブラントになりすましている
- トミーの暴走を止めることが多いが、本人もひとりで行きがち
- タペンス
- トミーの妻。<国際探偵社>でミス・ロビンソンとして秘書をしている
- 好奇心が強く、刺激を求めている
- アルバート
- <国際探偵社>の受付兼雑用係
- ちょっと変わっている
- ミスター・カーター
- トミーの上司
- マリオット
- ロンドン警視庁の警部

主な登場人物は多くありません。
ただ、主人公をはじめとして偽名を使う人がたくさんいるので、ちょっと混乱します。
みどころ

古今東西の名探偵といわれる人物たちの捜査方法を
トミーとタペンスが真似をして
依頼人の持ち込む事件を解決するのです!
トミーとタペンスは頭の回転が早く、素晴らしい知性の持ち主ではあります。
しかし、取り立てて言うほどの特技や専門的な知識はないふたりなのです。
ですが!
二人は、ある時は観察鋭い「 シャーロック・ホームズ 」、またある時はおしゃべりな探偵「 ロジャー・シェリンガム 」
はたまた科学的な分析を得意とする「 ソーンダイク博士 」や「 アリバイ崩し 」のフレンチ警部など
各事件ごとに、有名な探偵の捜査方法を真似して(憑依させて?)アプローチしていきます。


え?そんなのうまくいくの??
って、びっくりですよね。
それが、うまくピタッとハマるのが読んでいて楽しいです!
スパイとの攻防
英国に亡命してきた妻の行方を探す食肉業者からくる「 青い切手の貼られた手紙 」と
<国際探偵社>に来た人物が「 16 」という数字に言及したら、ただちに知らせて欲しい
海外のスパイが<国際探偵社>経由で犯罪を行っている証拠を掴むために、
トミーとタペンスは<国際探偵社>の社長ブラントと秘書ミス・ロビンソンになりすまして探偵家業に邁進することになります。


依頼人がつぎつぎにやってきますが、その中には外国のスパイが潜んでいるかもしれないのです。
この依頼してきた事件は本当にあった事件なのか?
という、もう一段階も二段階も怪しんで読み進めていかなければいけないのが面白かったです!
収録作品
■目次
「1 フラットの妖精」
「2 お茶を一杯」
「3 ピンクの真珠(ピンクパール)の謎」
「4 不審な来訪者」
「5 キングの裏をかく」
「6 新聞紙の服を着た紳士」
「7 失踪した婦人の謎」
「8 目隠し遊び」
「9 霧の中の男」
「10 ぱりぱり屋」
「11 サニングデールの謎」
「12 死の潜む家」
「13 アリバイ崩し」
「14 牧師の娘」
「15 レッドハウス」
「16 大使の靴」
「17 十六号だった男」
どれも短編ですので、前置きが短くすぐに盛り上がる展開になります。
作品数がたくさんあるなーと思われるかもしれませんが、さくさく読めちゃいます。


特に筆者がおもしろいと思ったのは
偽札の出どころを追うために潜入捜査をする
「10 ぱりぱり屋」
ゴルフ場で殺された男性の事件を安楽椅子探偵よろしくで推理する
「11 サニングデールの謎」です。
謎解きのロジックがよかったです!
まとめ
いかがだったでしょうか。
アガサ・クリスティ著作の「 二人で探偵を 」新訳文庫本は、名探偵ポアロやミス・マープルといった、伏線に十分注意して読み進めるシリーズと違い。
新訳文庫版解説で古山裕樹さんが書かれた「 ゆるいクリスティ 」という名称がピッタリな作品でした。
と、いってもミステリの女王アガサ・クリスティです。
謎解きのロジックはしっかりしていて、さすがな作品でした。
正直、いくつかはユーモアミステリな風味で終わってしまっていますが。
それもまた楽しかったです!
参考になりましたら、うれしいです。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
まめでした。
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